コンポーネントメーカーとグレードの紹介

Introduction of component manufacturers and grades

ロードバイクの各部分に取り付けられる機能パーツは、一般的にコンポーネントと呼ばれ、主にシマノ、カンパニョーロ、スラムの3社の製品が使われる。このページでは、これらのメーカーとコンポーネントのグレードについて紹介する。
コンポーネントメーカーとグレードの紹介

コンポーネントのグレードによって性能や価格が変わる

グレードの差で一番わかり易いのがギアの段数。ギア数が多いほど足への負荷を微調整できるので、疲れにくかったり、効率的な走りが可能になる。

つまり、ギア数が多いほうが優れていると言える。他にも精度や軽さなど様々な要因が異なり、高グレードのものほど走りが向上するが、その分価格も高い。

コンポーネントにはグレードという概念が存在する

コンポーネントには、グレードという概念が存在する。グレードを分別すると、以下のように分けられる。

グレード 特徴
エントリーレベル 初心者や予算の制約があるライダー向けのコンポーネント。耐久性や信頼性は高いが、高度な機能や軽量性は犠牲になることがある。
ミドルレンジ 中級から上級者向けのコンポーネントで、性能と耐久性のバランスが取れている。一般的に、価格と品質のバランスが良いとされている。
ハイエンド プロフェッショナルや競技者向けの最高品質のコンポーネント。軽量で高性能な素材が使われており、最新のテクノロジーが投入されている。

コンポーネントメーカーは大きくわけて3つ

ロードバイクのコンポーネントは、主に以下の3メーカーの製品が使用されている。

メーカー 特徴
シマノ (Shimano) シマノは日本を代表するコンポーネントメーカーであり、幅広いラインナップと高い品質で知られている。シマノ社の製品は信頼性が高く、幅広い価格帯で提供されている。
カンパニョーロ (Campagnolo) カンパニョーロはイタリアの高級自転車コンポーネントメーカーであり、エレガントなデザインと優れた性能で世界的に評価されている。コンポーネントの多くは高価だが、その品質と精度は一流。
スラム (SRAM) スラムはアメリカの自転車部品メーカーであり、革新的なテクノロジーと軽量性で知られている。スラムは、特にマウンテンバイクやシクロクロスなどの競技用途に適している。

シマノのコンポーネント

シマノの多彩なラインナップ

シマノのロードバイクコンポーネントは、幅広いニーズに応える多様なラインナップを誇ります。プロ選手からアマチュアまで、あらゆるレベルのサイクリストに適した製品を提供している。

デュラエースDi2: 最高のパフォーマンスを追求

特に注目すべきは、高性能レーシングコンポーネントの頂点に位置する「デュラエースDi2」。

これはリア12スピード、電動変速のDi2、そして最新テクノロジーを搭載し、最高のパフォーマンスを追求している。

アルテグラ Di2: コストパフォーマンスに優れたセカンドグレード

一方、「アルテグラ Di2」はコストパフォーマンスに優れたセカンドグレード。

リア12スピードとDI2仕様を採用しつつ、使用素材の見直しにより、より多くのサイクリストに受け入れられる価格帯を実現している。

105: 変速段数が最も多い機械式変速システム

シマノ105は、ミドルグレードでありながらリア12スピードの機械式変速システムを搭載したコンポーネント。

このシリーズはシマノの変速システムの中で最も変速段数が多い部類で、上位モデルに匹敵する性能を持ちつつ、優れたコストパフォーマンスを実現している。

2023年に登場した新型105は軽い操作感とスムーズなシフトチェンジが特徴で、さまざまな地形に対応する幅広いギア展開を備えている。

人間工学に基づいたシフト/ブレーキレバーは快適なライディングを支援し、どんなグレードのフレームにも適合する汎用性の高さが魅力。スポーツ自転車初心者から上級者まで、幅広いライダーに対応するシマノ105は、レースやロングライドでの使用に最適である。

初心者から経験者まで、幅広い選択肢

さらにエントリーレベルに位置する「ティアグラ」、「ソラ」、「クラリス」は、それぞれリア10スピード、9スピード、8スピードと変速段数が異なり、全て機械式変速のみを提供。

これにより、初心者から経験者まで、自分のレベルや予算に合わせたコンポーネント選びが可能。

シマノ

シマノ ロードバイクコンポーネントグレード一覧

DURA-ACE デュラエース(12速) ★★★★★★

1973年にリリースされたシマノの最高級ロード用コンポーネント"デュラエース"。数年おきにフルモデルチェンジをくり返している。

MTBコンポの技術を取り入れるなど、性能やルックスが大きく進化した。変速部分に電動変速システムを採用したDURA-ACE Di2という仕様も存在する。

ULTEGRA アルテグラ(12速) ★★★★★

デュラエースに次ぐランクのアルテグラは、趣味でレースに参加するライダーのために作られたコンポーネント。

ギアは12速。その性能は高く、プロでも採用するほどの性能を誇る。ミドルグレード以上のロードバイクに掲載される事が多い。なお、ULTEGRA Di2という電動変速システム仕様も存在する。

105(12速) ★★★★

以前は11速だったが、最新モデルは12速仕様になった105。変速などの基本性能は上位機種と比べても遜色はない。

重量面や仕上げでやや妥協があるものの、レース用の入門コンポーネントとして何の過不足もなく使えるだろう。

なお、上位モデルとの互換性もあるので、後々コンポーネントをアップグレードしやすい点もポイント。初めてロードバイクを購入する人でも、予算があれば105搭載のモデルをおすすめしたい。

TIAGRA ティアグラ(10速) ★★★

10速仕様のエントリー用コンポーネントという位置にあるティアグラだが、もちろんホビーレースなどで使ったりしても何の問題もない。

変速性能も上位機種と比べ遜色はなく、この辺のキッチリとした作り込みは、さすがシマノといったところだ。

あくまで一意見だが、趣味でロードバイクを始めるならこのレベル以上のコンポーネントを備えたモデルを探すところから始めよう。(自転車通勤通学などは話は別だが)

SORA ソラ(9速) ★★

9速仕様ながら入門用コンポとしては十分すぎる機能を備えている。デザインも上位モデルのデザインを踏襲している。

ギアは9速ながらも初心者にはギアの変速はなれないと難しい物なので、逆に使いやすいとも言える。

CLARIS クラリス(8速) ★

2013年にラインナップに加わったエントリーモデルに多く採用されるコンポーネント。

初心者が使いやすいようフロントのギアが3枚になっているものもある。フラットバーロードやクロスバイクの一部にも採用されている。

コンポーネント ギア数 対象
DURA-ACE デュラエース 12速 プロレベルのレーシング、性能を追求するライダー
ULTEGRA アルテグラ 12速 趣味でレースに参加するライダー、高性能を求める愛好家
105 12速 レース用入門、予算内で高性能を求めるライダー
TIAGRA ティアグラ 10速 初心者から趣味でレースに出るライダーまで
SORA ソラ 9速 初心者、趣味のサイクリング
CLARIS クラリス 8速 初心者、通勤や通学用

シマノ グラベルコンポーネント

グラベルロードバイクは、その多様性と冒険心をくすぐる性能で、サイクリストたちの間で急速に人気を集めています。

特に注目すべきは、グラベル専用のコンポーネントであり、その代表格であるシマノのGRXシリーズが提供する革新的な機能と性能です。

シマノGRXはグラベルライディングの新基準

グラベル専用設計:GRXは、未舗装路や変化に富んだ地形でのライディングを念頭に置いて設計されています。ロードバイク用コンポーネントよりも軽いギア選択が可能で、強度も高められています。これにより、ハードな使い方をしても耐えうる耐久性を備えています。

低速向けギア比:悪路や急坂でも楽に登れるように、GRXは低速向けのギア比に設定されています。フロントギアの歯数が少なく、リアギアの歯数が多いことで、軽い力でのペダリングが可能になり、山道の登りなどでも快適な走行を実現します。

特徴 説明
専用設計 グラベルライディングに特化した設計で、未舗装路や変化に富んだ地形に最適。
ギア選択の自由度 低速向けギア比で、悪路や急坂でも楽に登れる。フロントギアの歯数が少なく、リアギアの歯数が多い。
耐久性 ハードな使用を想定した高い強度。長時間のライドでも性能を維持。
快適性 握りやすいレバーと安定した変速性能。長時間のライディングでも疲れにくい。
カスタマイズ性 ライダーのスタイルに合わせて、1x12、2x12スピードの高速走行向け、登坂向けなど複数の選択肢を提供。

GRXのラインナップ

2023年、シマノはGRXシリーズに12速機械式リアディレイラーを追加しました。

この新しいGRXは、"UNDROPPABLE"、"UNBEATABLE"、"UNSTOPPABLE"という3つのスタイルがあり、ライダーのスタイルに応じた自由度の高いカスタマイズを可能にしています。

UNDROPPABLE:2x12スピードで、フロント48/31Tとリア11-34Tまたは11-36Tの組み合わせ。平地からヒルクライムまで、最適なギア比を選ぶことができます。

UNBEATABLE:1x12スピードで、フロント42/40Tとリア10-45Tの組み合わせ。スムーズなシフティングと幅広いギアレシオを両立させます。

UNSTOPPABLE:1x12スピードで、フロント42/40Tとリア10-51Tの組み合わせ。スーパーワイドレシオで、激坂や長時間のアドベンチャーライドに最適です。

スタイル名 ギア構成 特徴
UNDROPPABLE 2x12 平地からヒルクライムまで対応。48/31Tのフロントチェーンリングと11-34Tまたは11-36Tのリアカセットでワイドレシオを実現。
UNBEATABLE 1x12 スムーズなシフティングと幅広いギアレシオ。42/40Tのフロントチェーンリングと10-45Tのリアカセットを採用。
UNSTOPPABLE 1x12 激坂や長時間のアドベンチャーライドに最適。42/40Tのフロントチェーンリングと10-51Tのリアカセットでスーパーワイドレシオを提供。

GRXの特徴

カスタマイズ性:GRXは、シングルまたはダブルのフロントギア選択肢と、リア10、11、12スピード仕様を提供し、あらゆるグラベルライディングスタイルに対応します。

耐久性と快適性:GRXは、グラベルライディングの厳しい条件下でも高い性能を維持。レバーの握りやすさや変速性能の安定性が、長時間のライドでも快適な走行をサポートします。

カンパニョーロのコンポーネント

カンパニョーロは、サイクリングの世界でその卓越した品質と革新的な技術により、高い評価を受けているブランド。

カンパニョーロのグループセットは、ワイヤレス変速から機械式変速、ディスクブレーキからリムブレーキまで、あらゆるサイクリストのニーズに応える幅広い選択肢を提供する。

カンパニョーロ

スーパーレコード(12速)

2023年には、カンパニョーロの製品ラインの中で最も高級な「スーパーレコード」が、ワイヤレス変速技術EPSを導入。

この技術は、リア12スピード変速と油圧式ディスクブレーキに特化しており、トップ10TのスプロケットとN3Wフリーボディに対応することで、前例のないレベルのパフォーマンスを実現。

機械式変速オプションもあり、リムブレーキ仕様で提供されている。これはリア12スピードで、トップ11Tのスプロケットを特徴とし、従来のフリーボディと互換性がある。

レコード(12速)・コーラス(12速)

レコードとコーラスのグループセットも、同様に12スピードの機械式変速を採用しており、ディスクブレーキとリムブレーキの仕様を提供している。この柔軟性により、様々な条件とライディングスタイルに適応することができる。

ケンタウル(12速)

ケンタウルは11スピードのリムブレーキ仕様で、カンパニョーロのラインナップの中でも特にコストパフォーマンスに優れている。これらのグループセットは、サイクリストが求める性能と快適性を実現するために、最新の技術と革新を組み合わせている。

コンポーネント ギア数 特徴
スーパーレコード(ワイヤレス変速) 12速 ワイヤレス変速、油圧式ディスクブレーキ専用、トップ10T、N3Wフリーボディ対応
スーパーレコード 12速 リムブレーキ仕様、トップ11T、従来のフリーボディ対応
レコード 12速 機械式変速のみ、ディスクブレーキとリムブレーキ仕様
コーラス 12速 機械式変速のみ、ディスクブレーキとリムブレーキ仕様
ケンタウル 11速 機械式変速、リムブレーキ仕様

スラムのコンポーネント

ロードバイク用コンポーネントにワイヤレス変速を採用し革新をもたらす

SRAMのコンポーネントは、ロードバイク初心者から経験豊富なライダーまで、あらゆるレベルのサイクリストに適した選択肢を提供する。

特にワイヤレス変速技術は、ロードバイクの使用体験を大きく変える可能性を持ち、複雑なケーブルルーティングやメンテナンスの手間を省きながら、より直感的で迅速なギア変更を実現する。

この技術はロードバイクの操作性を向上させるだけでなく、ライディング中のパフォーマンスの最適化にも寄与する。

スプロケットは最小10Tから始まり、XDRフリーボディという専用規格を採用している。

この技術により、ロードバイクのドライブトレインはフロントダブルとフロントシングル(1X)から選択可能であり、さらに「レッド」にはリムブレーキ仕様も用意されている。

また、近年では「エイペックス」もワイヤレスの電動変速12スピードに対応し、機械式変速はすべてリア11スピードで、シマノのHGフリーボディと互換性がある。

SRAMコンポーネントの概要

Red eTap AXS(レッド イータップ アクセス): SRAMのトップレベルグループセットであり、12速の電子無線変速システムが特徴である。軽量材料を使用し、統合型パワーメーターオプションが提供される。油圧ディスクまたはリムブレーキオプションと組み合わせ可能で、AXSアプリを通じてコントロール、カスタマイズ、パフォーマンスモニタリングが行える。

Force eTap AXS(フォース イータップ アクセス): レッドに次ぐ性能を持つが、コストパフォーマンスに優れるミドルレンジモデル。無線変速を特徴とし、オプショナルなパワーメーターを提供する。

Rival eTap AXS(ライバル イータップ アクセス): 初心者やエントリーレベルのライダーに最適な価格設定。リア12スピードのワイヤレス変速を搭載し、アプリを介してシフト設定のカスタマイズが可能である。

Apex eTap AXS(エイペックス イータップ アクセス): エントリーレベル向けのグループセットで、10速カセットと2速チェーンリングを特徴とする。Apex 1ではフロントチェーンリングを1つにし、1×11のセットアップを提供しているが、電子コンポーネントは含まれていない。

コンポーネント名 ギア数 対象
Red eTap AXS/
Red
12速(電動変速)/
11速(機械式変速)
競技用・ハイエンド
Force eTap AXS/Force 12速(電動変速)/
11速(機械式変速)
中級者向け
Rival eTap AXS/Rival 12速(電動変速)/
11速(機械式変速)
エントリーレベル・初心者
Apex eTap AXS/Apex 12速(電動変速)/
12速(機械式変速)
エントリーレベル・初心者

SRAMコンポーネントの語句説明

項目 説明
eTap SRAMによるワイヤレス電子変速システムの名称。コンポーネント間は専用のプロトコル「Airea」を使用して通信し、スマートフォンアプリを通じて設定変更やファームウェアのアップデートが可能。
AXS スマートフォンアプリを通じて自転車の設定をパーソナライズし、バッテリー状態の確認、コンポーネントの挙動変更、メンテナンスリマインダーの受け取りなどが行える。

まとめ

シマノ、カンパニョーロ、スラムは、ロードバイクコンポーネントの世界でそれぞれ独自の技術と魅力を持つメーカー。

シマノはその幅広い製品ラインナップと信頼性の高さで知られ、初心者からプロまで幅広いライダーに支持されている。カンパニョーロは伝統と革新を兼ね備え、独特のイタリアンデザインと高いパフォーマンスで愛されている。一方、スラムはワイヤレス変速技術の先駆者として注目され、特にそのシンプルさと直感的な操作性で新しいライディング体験を提供している。

これら3つのブランドは、技術の進化とともにライダーのニーズに応え続けることで、ロードバイクの世界に新たな価値をもたらしている。

メーカー 特徴 強み
シマノ 幅広い製品ラインナップと優れたコストパフォーマンス。電動変速システムDi2を提供。 高い互換性と信頼性。初心者からプロまで広範囲に対応。
カンパニョーロ 伝統的なイタリアンデザインと高級感。ユニークな技術と革新性。 独自性とデザイン性。上級者やコレクターに人気。
スラム ワイヤレス変速技術の先駆け。フロントシングルドライブトレインに強み。 操作性とメンテナンスの容易さ。最新技術への迅速な対応。

人気のページ

ロードバイクの選び方

ロードバイク虎の巻カテゴリー